「初来客との夕食」 語学学校からの帰路、徒歩なのは、僕とイギリス人のクリフと トルコ人のオルカイだけだった。オルカイは途中でバスに乗るようだ。 しかし、ある日、クリフは車で来ていた。わー。 そりゃー、ちゃんと働いてる人だもの、車くらいねぇ。 で、車がないとコッチの生活は不便です。日本もだけど。 冷蔵庫やら、キッチンやら、コンロやら、洗濯機を買うのに 運び賃を高額払わなきゃいけないしねぇ〜。 と言いつつ、車の維持費(保険など)は非常に高くつくらしいですし 僕らは車を所持するつもりは、一切ありません。しかし欲しい。 んで、ですね、その語学学校の帰り、クリフが 「家まで送ってあげようか?」と言ってくれました。 でも、何でか僕はとっさに「nein danke.」と言ってしまいました。 (英語の「no thank you.」ですね) 語学学校の帰りの散歩が結構好きだったのです。 しかし、あとで後悔しました。 せっかく友達になれるチャンスだったかもしれないのに。 次の授業の日。今日は送って貰うぞ!と、その気満々で臨みました。 (もちろん授業にも真面目に取り組んでおります) で、授業後、クリフは「今日も歩きか?」と聞いて来ました。 よし、来た!「一緒に帰ろうぜ〜。」っていうか、 車に乗せて貰っちゃおう。と思ったが、何故か彼は歩きだった。 で、さらに思いきって「夕飯をうちで一緒にどうだい?」 なんて言ってみちゃいました。ボロボロの英語でね。 で、交渉成立(笑)。クリフは我が家へ夕食に。初のお客様です。 さて、家では相棒が、そんな事ともつゆ知らず、 夕飯を作って待っていてくれました。もうパジャマ姿です。 非常に慌てている相棒ですが、クリフを快く迎えてくれました。 入り口で、僕はいつも通り、靴を脱ぎます。で、あっ!と 思います。しかし、クリフ、紳士です。すっ、と何も言わず、 自ら靴を脱いでくれています。なんとも異文化を心得ている。 ま、一応気を使いスリッパを差し出します。 そして、この日の夕飯。今までで一番シンプルとも言える 日本食であります。クリフにとっては面白い体験だし、 ちょうど良かったかもしれない。しかし、非常に見た目が貧しいぞ。 メニューは、白米、味噌汁、塩昆布、梅干し、ちりめん山椒。 肉っ気ゼロ。 なんとも、今日は日本昔話のちょっと豪華版だ。 さ湯をすすりたいところだ。ま、実際はビールです。 で、クリフは箸も上手に使いこなします。 日本食は欧米でも人気ですし、チャイニーズレストランは どこに行ってもあります。すでに箸には慣れていたようです。 で、一つづつ試していきます。日本の茶碗は手で持つんだよね。 と、そこも日本の風習にしたがってくれます。茶碗を持つ国は 非常に少ないですからねぇ。味噌汁も勿論茶碗を持ちます。 で、梅干し!あ、ちょっとだけカジッたほうがイイよ。と 言いたい気持ちだが、言葉がウマクできない。あぁ、クリフ 一口で丸ごといっちゃいました。「おぅ!」「く〜!」 「サワ〜!」と、梅干しにはビックリしたようです。 ちっちゃい魚の入った、ちりめん山椒も難無く食し、 たまたま買ってあったキムチも全然平気で食べてしまいます。 もう〜、僕は食べてる気がしないくらい、一生懸命 ボロボロの英語で会話をしたわけなんですけども。 非常に楽しかった。で、道が判らないというので 結局、家まで送り、一杯話し、友人への第一歩となったのでした。 しかし、その次の授業を僕は風邪で欠席し、 さらにその次の授業からクリフはイースターの休暇で 故郷に帰ったとの事で会えず、 そして、何があったのか判らないが、休暇の終わった今も 語学学校には表れず、クリフが僕が風邪の日に先生に預けていた 携帯の電話番号に数回かけてみるも、いつも留守電。 唯一の友人として交流を深めたいと思っているだけに。残念だ。 ま、また電話してみますけどもね。 |