「友達クリフと.2」 朝、僕はいつもより早く目が覚めた。6時。 というか、いつも通りだった。 最近、花粉症のせいで、ゆっくりと眠れないのだ。 朝も鼻がかゆかったり、目がかゆかったり、 鼻水が溜ったりして、早くに目が覚めるのだ。 ただ、この日は、そのまま起きていた。 今日は朝9時にクリフが車で迎えに来て オランダのとある綺麗な街に行くという。 クリフは何度か行っているのだろう。 綺麗だ、って知っているのだから。 CDを選んだり、支度をして9時になった。 彼は時間キッカリに来た。 彼の車は汚れていて、彼は笑いながら 「もう5ヶ月も洗っていないよ」 「イギリスでは皆2週間ごとには洗う」と言った。 前日、僕のシャツ(トレーナー、ズボンも)が もう数カ月洗っていないというのが会話に出ていたので クリフは「彼のシャツと一緒だ」と相棒に言った。 すぐに音楽の話になり、クリフは 「君の音楽をかけろよ」と言うが、彼の聴いていた 「バラードヒット集でイイじゃん」と僕が言うと 「こんなのはオバサン達の聴く音楽だよ」と言う。 自分が聴いていたくせに。(笑) で、彼のライブラリーから、カイリー・ミノーグを聴く。 彼は時々口ずさむ。僕はほとんど知らない音楽だ。 で、暫くすると、彼はまた「君の音楽をかけろよ」と 言うので、僕はマニー・マークをかける。 彼は「ストレインジ」「don't like」と言う、 暫くすると「チェンジ ディスク」と言う。 マニーマーク→トータス→レイジアゲインストザマシーン と「ストレインジ」「don't like」「チェンジ ディスク」 が続き、うーむ、と困った僕は、考えた。 (嫌いでも面白がって聴いてくれたらイイんだが) で、バッドリー・ドロウン・ボーイをかけた。 昨日のエリオット・スミスみたいなもんだ。 すると彼はノリノリで機嫌もよくなり、口ずさむ。ホッ。 バッドリー・ドロウン・ボーイは イギリスのミュージシャンだし、クリフはライブも 観た事があるようだった。「グッド ミュージック!」 車中、ドイツ語で話そうとかなるが、長くは続かない。 クリフは、動詞の変換のsprecheとかsprichstとかが 嫌いなようだ。嫌いだからよく覚えていない。 「sprechen」というのは「話す」という動詞だ。 「sprechen」が基本形。語尾が変換されていく。 ドイツ語は下記のように主語に合わせ動詞が変換するのです。 私Ich(イッヒ)だと、spreche(シュプレッヘ) (親しい)あなたduだと、sprichst(シュプリヒスト) (親しく無い)あなたSieだと、sprechen(シュプレッヘン) たしかに、ややこしいと思う。 僕はまだ、そこまで進んでいないのだが、更に、 過去型とか過去分詞とかで変換は増えていくようです。 そして、後は、名詞に付く、der,die,dasという冠詞の勉強。 目に付くものに対して「die Sonne(太陽)」「der Himmel(空)」 「die Wolke(雲)」「der Mond(月、は出てませんが)」などと これもスグ終わりましたが、一応勉強しなきゃ、な気持ちは 二人ともあるのです。 ちなみにder=男性、die=女性、das=中性 というように性別で分けられた冠詞が付きます。 フランス語なんかもそうらしいですね。 さて、オランダの綺麗な街に着きました。 ド田舎に行って、チューリップでも観るのかと思ったら 全然、都会です。しかし、古い建物の多く残る美しい街です。 クリフは建物にエラク興味のある人なんだ、と、この日知りました。 彼は、このMaastrichtという街に初めて来たのが4ヶ月前で もう10回以上来ていると言います。そんなに好きなのか〜。 と思ってしまいましたが、本当は、彼の勤める会社がこの街にも あり、仕事で10回以上来た事があったようなのです。 プライベートで来たのは今回が初めてのようです。 なので、10回も来ているわりにドコに何があるのかも知らないし ドコか行きたい場所があるわけでもナイ彼の行動が変なわけです。 誘ったわりに案内はしてくれず、ドコに行きたい?と聞くのですが、 そんなん、僕らの方が判るわきゃないっつーの。 で、会話の中で僕がドコに行っても 美術館を観ていると思った彼は美術館に行こう、と言ったくせして 凄く乗り気じゃなく、しまいには美術館は嫌いだ〜。とか言う始末。 僕の事を変人と言うけども、彼自身、変人なようです。(笑) (彼は今まで仕事を多数変わっているらしいのですが、それは 日本と同様あまり普通な事ではナイようです。イギリスでも。 なので、彼はイギリスでは変人な部類として見られているのかも) 彼が観たいものは、建物でした。教会に行くと、もの凄く機嫌が 良くなり、鼻歌も出ます。しかし、教会の中の絵などになると そんなに興味がナイようでした。たまたま一つの教会で パイプオルガンの音楽を聴く事ができたのですが、 それは、教会であり、美しい音楽であり、彼は安らいだようでした。 他にも街の古い建物を観てまわります。 「あそこに古い建物が」と言うと少し興味を持ち、 「マリアの像があるよ」と言うと俄然興味を示します。 彼はキリスト教徒ではナイらしく、無宗教のようです。 冗談で自分はサタニストだと彼は言っていました。 (やっぱ変人なんだな、きっと) しかし教会は大好きだ、とも言っていました。 彼は、この街並が気に入っているようで、 住みたいとも言っていました。 不動産物件に見入る事もあるくらい。 しかし、高い。と言っていました。 そして、僕と相棒は街で変なオブジェ、絵、異物に出会うと 感激して笑ったり、写真に撮ったり、玩具ばっかり観たり、 僕がオランダ発のアート系の変な雑誌を買ったり、 相棒が変なポストカードを買ったり、して、クリフは 「クレイジー」「ストレインジ」「もう写真撮るな!」 と言うのでした。(写真3枚しか撮ってない段階で。 で、最終的に10枚撮りました。おかしな物ばかり) そして、1度カフェで休憩・談笑し、 ランチにクリフがそこしか知らないという そんなに美味しくもなく、まぁまぁな値の デパートの中のレストラン(セルフで食い物をトレイにとる) みたいのに行き、クリフはスープとジュースとパンだけなのに 僕は、肉、ポテトフライ、スープ、水 相棒は、肉、ポテトフライ、サラダ、水、と食って また「クレイジー」と言われました。 僕らも、金もかかるし、こんなに食うんじゃなかったと後悔。 その後、また街をぶらつき、もう1回カフェに入り、 そして、帰り際にスーパーに寄ってもらい、 僕が世界一好きなビール「アムステル ビール」をまとめ買い。 凄く嬉しい!もう、何年ぶりに呑むのかなぁ。 (今は禁酒中なので、呑んでいません、昨日のクリフとの 夕食時には飲酒しましたが、そういう場では解禁という禁酒法) 帰り道は、3人とも眠い。しかし、クリフは運転頑張ってくれます。 音楽は、バッドリーを暫く聴いた後、クリフの持ってた音楽に変え (名前忘れた)で、その後、なんと、井上陽水をかけました。 クリフ、気にいったようです。「グッド〜。うんうん」 井上陽水の歌メロを口ずさんでおります。ほ〜。 「僕の母のフェイバリットミュージシャンなんだ」と言うと クリフは「おー!掃除する時とかにもかけてるのかい?」 と言うので「ドライブ中もいつも聴いてるよ」と僕は言いました。 そしてドイツに着いて、彼はスーパーに買い物に行くと言います。 「でも、今日は土曜だけど、祝日だから、ドイツのスーパーは 開いてないんじゃないの?」と言っても、彼は「判らないけど」 と試しに行ってみました。すると、やっぱり休み。 「オ〜!クレイジー、ドイチュ〜!」 だから、オランダのスーパーで買や良かったのにぃー。 欲しいワインがナイって言ってたけども。 「明日は一年の内で一日だけ店を開けていい日曜らしいから スーパー開いてるかもね」と相棒が言います。 (しかし実際には開いていたのかなぁ?うちの近所は閉店) そして、我が家に到着。 「お茶でも呑んでいく?」と言うと疲れて仕方ない様子ですが 「OK」とクリフ。 (もしかすると誘われたら断らないのかもしれません基本) その後、英語、ドイツ語、日本語の翻訳サイトで彼が使っている サイトを教えて貰い、実際にネットに接続し、そのサイトを活用して 会話をします。が、ストレンジな日本語にしかならず。 僕の普段使っている翻訳サイトの方が賢そうです。 で、そちらのサイトも試して会話を楽しみました。 「スーパーで何を買いたかったの?」と聞くと 「ワイン」と言うので、 僕「僕のアムステルビールを2本くらい持って帰る?」 彼「君の楽しみを奪うような事はしたくない」 僕「2本ならイイよ」 彼「君は僕の腕をねじったから、その2本は僕の物だ」 僕「???」 以上は、翻訳サイトを通じての会話だったのですが、 話を聞いてみると、一度断ったのに(遠慮でも) それでも薦めるというのが、腕をねじった事になるらしく そしたら、今度は、そこまで言うなら貰うしかない、 みたいな感じ。ほ〜。おもしろいね。 で、最後にもう一度、翻訳サイト 僕「味わって呑んでね。今日はありがとう」 あ、そういえば、クリフがクシャミをした際に 相棒が「ゴッド ブレス ユー」と言い、クリフは「サンキュー」 というような場面がありました。そうでした。 「ゴッドブレスユー」そんな文句がありましたね〜。 「日本では、クシャミの時、なんて言う?」と聞くので 「とくに何も言わない。でも、 1回だとイイ噂、2回だと悪い噂、3回だと風邪。と言う」 と話しておきました。 あ、あと、クリフは車中、僕が持っていった、 最高にジャンクな匂いと味のグミをムシャムシャと 「大好き」とばかりに食っていたなぁ。 でも、彼も僕らと同じく、真っ黒い苦いグミは嫌いだそうだ。 あと、クリフと僕はブルーチーズも嫌いだ。 そんなわけで、2日連続でクリフに会い、遊び、 親睦を深めたのであった。無茶苦茶でも実際に英語で会話すると 英文を考えようとする脳が働くので凄く勉強にもなる。 ドイツ語でなく、英語の勉強になっちゃうんですけどもね。 クリフは「See you later」と握手して帰った。 ウインクもしていたらしい。僕は見ていなかったけど。 機嫌がイイ時と、乗り気でナイ時の差が激しい。 そして、その波はいつ来るのか 僕らにはさっぱり判らないのだった。 |