「映画祭り」

といっても、ドラえもん映画祭りではナイ。
(京都で藤子不二夫A展がやってるらしいね。観たい!)

Oberhausenという都市で行われていた短編映画祭だ。
前日、ジョナサン・リッチマンのライブで知合った
日本語のできるドイツ人エドガーが通訳の仕事をしていて
最終日、誘ってくれた。しかも車で迎えに来てくれた。

会場に向かう車中、
彼が担当する日本人映画監督の作品について話す。
彼にとっては予習。僕は単に興味があった。

彼が下準備していたメモを見せて貰いながら、僕が質問。
そして、彼からも日本語について質問が出る。
興味深いヤリトリ。

彼は日本に2年か3年程住んでいたらしく、
2週間程前にドイツに戻ったのだと言う。
そして、これから日本、もしくは韓国で就職活動を
行うらしく、数カ月後にはドイツを発つ。

彼は日本人とバンドもやっていて、そのバンドの
ライブが近々日本でもあるようだ。
そして恋人は韓国在住の韓国人らしい。
グローバルというのだろうか。

会場に着いて、まず監督さん達と打合せ。
ジャマ者な僕も同席しちゃいます。
ポコッと突然現れたジャマ者ですからねぇ。

そして、エドガーが使っていない自分のチケットを
分けてくれ、映画を観ます。
いくつかのブロックに分けられているようで
僕が観たブロックは6作品。(途中1本はトイレに出て観ず)

その中に、その日本人監督の作品もあった。
彼女は東京の映画学校で1年勉強して、初監督作が
ノミネートされたらしい。5000本の応募の中から。
彼女自身も言っていたが、チグハグなイメージと
チグハグな質感の映像が、全体に流れる大きなストーリー
に混ざって、なかなかパワフル強引なエネルギーが
出ていて面白い映画だった。

その映画の上映の前に監督の挨拶を通訳するエドガー。
その後、6本の上映が終わった後、別室でディスカッション。
インタビュアーが5人の監督に質問し、会場からも質問を貰う。
会場は、かなり人もまばらな状態。

で、エドガーはインタビュアーのドイツ語を日本語にし
監督に伝え、監督の日本語をドイツ語にする。
監督は日本語特有というか、日本人の中でも
かなり言葉で正確に伝える部類の人ではなく、
エドガーはかなり困っていた。

少しだけドイツに住んだだけだが、
ドイツ人に自分の思っている事を伝える時には
キチンとそれに見合った言葉選びをしなければいけない事は
僕はもう何となく判る。普段はドイツ語ができないので
会話にはナカナカならないのだが。
というか、ドイツ人に限らないと思う。そういう言葉選びは。

そして、エドガーは日本語ができる。
だが、伝える言葉選びは、やっぱりドイツ人向けに
選ぶ方が良いのだ。それは、暫く話してすぐ判った。

だが、監督さんは、その辺、判らないらしく、
かな〜り曖昧な表現で、日本人でも?マークが浮かびまくる
ような言葉選びだったので、エドガーは随分頑張った。
人事ながら、彼は凄く頑張っていたと思う。
慌てた素振りも、顔色も変わらないくらい落着いていたけど。

そして、その後、コーディネーターみたいな日本人の方に
食堂でのビール券を頂き、空きっ腹にビールを飲み、まわる。
その後、監督さんの買い物にエドガーと付合う。

エドガーは駅構内のスーパーに向かう際に
すかさず、僕に「お腹空いてませんか?」と聞く、
「まぁ、空いてるっちゃぁ、空いてるけど」と言うと
監督さんにスーパーに買い物を1人で行くように言い、
僕らはPommes frites(フライドポテト)を食べる。
こういう時、エドガーは人に「お腹が空いてる」と
言わせる。(笑)そんなつもりは彼にはナイのだろうが。

その後、会場に戻り、映画祭の各賞の発表の場となる。
本当は僕は入ってはいけないのだが、エドガーが
入っても判らないからと、強引に入れてくれた。
その発表自体に4時間とかかかるからだ。彼は優しい。

真っ赤な重々しいカーテンがかかっている。
入り口には赤い絨毯もひいてあった。エドガーは
「でもジャック・ニコルソンは来ないね」と笑う。
僕は昼間、ヴィム・ヴェンダースを観たように思う。
初日、ドタキャンで来なかったらしいのだが。

そして、受賞式会場。
僕は英語通訳のヘッドホンを貰っていなかったので
チンプンカンプンのドイツ語で、いちいち発表の前に
色々な関係者の紹介(その人が各賞を発表する)したり
ちょっと、笑いのネタを司会者が披露したり、と
とにかく時間がかかる。

周りのドイツ人達も「フゥ〜」と溜め息をつきながら
お疲れの御様子だが、笑いのネタにはシッカリ笑う。
そして、各部門の最優秀作品の上映が合間合間で行われる。

結局、7時過ぎから始まって、11時半頃に終わった。
僕とエドガー達は10時半くらいに会場から出ていた。
丁度、10時半に終わった、とある映画がカメラが動きまくり
しかもアップも多くて、非常に僕は気持ち悪くなったから。
非常に面白い映画だったんだけども。

それから、全ての作品の上映が終わるまで1時間かかった。
しかし、授賞式自体は、皆が映画を観ないで結果だけ知って
とっとと帰れるようにと、9時くらいにお開きになっていた。

その後、別会場で打上げパーティが行われていて
そこで2つのバンドが演奏すると聞き付けたエドガーは
少し観たいらしい。僕も興味はあったので、行く。
ココもタダで観れたのでラッキー。飲み物は自分で買うが。

出演バンドは、そんなに好きじゃなかった。それよりも、
スペインのフェスティバル・アジアというイベントの関係者
のドイツ人が日本語のできるエドガーに話しかけてきた。
エドガーは、営業活動の旺盛な青年なので、自分のバンドを
売り込むために頑張ります。素晴らしい頑張りです。
彼と一緒にいて、一番、それが勉強になる。

そして、僕もついでに、スペイン人の彼に、My!のCDを渡す。
本当はエドガーに渡そうと、準備していたCDだったのだが。

エドガーも、スペインのイベントのドイツ人も
語学の勉強は、そういう仕事を手に入れたり、
営業活動をしたりという生きる為の術として身に付けている。
もちろん興味もあるのだろう。
とっても見習わなくてはいけない。英語くらいは必須だ。

そして、ほどほどの時間になり、疲れたので、帰る。
また、彼には家に送って貰う。帰ると夜中の2時過ぎだった。

エドガーは、バンドのチラシを作るのを手伝って欲しいと言い、
数日後、我が家に自分のPCを持ってやってくる。
ドイツでもデザインの講師をする事になった。